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株式会社 マテリアル・コンセプト
製造業〔仙台市青葉区〕

大学発ベンチャー、世界初の銅ペースト

株式会社 マテリアル・コンセプト 株式会社 マテリアル・コンセプト

株式会社 マテリアル・コンセプトは「銅ペースト」の製品化のための研究開発や製造を行う企業です。「銅ペースト」とは、太陽光電池などの配線に使用することを目的とした、銅色のドロドロとした素材。現在太陽電池などで主流となっている銀ペーストの、約百分の一のコストで製造が可能です。2012年、東北大学の小池研究室が、世界で初めて銅ペーストの弱点を克服する技術を確立しました。小池研究室の技術を元にし、2013年に「被災地のために社会貢献したい」との思いから起業した大学発ベンチャーです。

所在地
〒980-0845 仙台市青葉区荒巻字青葉6-6-40 東北大学T-Biz 408
Tel. 022-796-2590 Fax. 022-796-2591
http://www.mat-concept.com/
代表者
代表取締役 小池 美穂
資本金
1億6,900万円
創業設立年
2013年4月

(2016年2月取材)

東北を共に元気にしていきましょう

田内 愛一郎

経営企画・管理部長
田内 愛一郎

当社は東北大学で生まれた、世界初の製品を事業化する可能性を持っている企業で、東北大学の小池研究室の持つ「銅ペースト」の技術を元に、2013年に誕生した大学発ベンチャーです。「被災地のために何を成し得るのか」。東日本大震災の被害を受けた石巻を、目の当たりにした最高技術責任者である小池淳一の思いをきっかけに、東北を拠点にした地域での雇用促進と、日本経済の発展を目指してスタートした企業です。
太陽光発電パネルなどに用いられる、配線の素材を構成する材料の銅ペーストは、東日本大震災からの復興発展のために”世の中を変える”技術として生み出されたものです。当社では、その技術を生かして、銅ペーストの開発や製品化を行うことで、地域経済の発展に寄与すると同時に、起業を促すような起爆剤になることを目標としています。
銅ペーストは、太陽電池や電子部品に使用でき、製品の低コスト化を実現することが可能です。それだけではなく、従来の銀ペーストを使用した太陽電池と比較しても、高い効率での発電も期待でき、中・長期的な普及拡大の一翼を担っていくことを考えています。
社の環境は、東北大学内にあることから、アカデミックで先端的な装置が揃っていますので、常に最先端の装置を使い、実験を行うことが可能です。社風は、自由でオープン。幅広い年齢層の社員がいますが、年齢差に関係なく意見が言える環境で、「成長しよう」という気持ちを強く持つ社員や、失敗しても目標に立ち向かおうとする社員が多いのも特徴です。当社は着実にグローバル展開を進めています。世界各国の企業や研究機関と共同開発も進めていて、これからまだまだ成長していかなければいけない企業です。私たちのビジョンに共感し、共に成長したいというやる気のある「人財」を、心よりお待ち申し上げます。

業務内容

主な仕事は「研究」と「開発」

「銅ペースト」の研究開発、製造を行っているマテリアル・コンセプト。太陽電池向けの銅ペーストについては、現在、海外の特定の太陽電池セルメーカーと共同で実用化に向けた研究開発をしています。電子部品向けの銅ペーストについては、密着性が高く、低い電気抵抗、更には容易に任意形状を作製できるという特長を有しており、電子部品メーカーに対しては開発や量産化により高性能の製品につなげて頂くという目的での提案を行っています。銅ペーストは、社内にある「クリーンルーム」という空気中の塵を除去した部屋で製造されています。メーカーからの依頼を受けての共同開発のほか、企業への提案を行うことも多く、開発や設計に多くの人材を配置しているなど、研究開発型が一般企業と異なる点の一つです。

企業の特色・強み

世界で初めて銅ペーストの欠点を克服

東北大学内にあるマテリアル・コンセプトでは、「最新鋭の装置を借りることができる」と田内さん。銅ペーストの研究開発は数十年もの間、多くの国で行われてきました。その間、「さびやすい」、「銅が太陽電池の素材であるケイ素に拡散し、発電効率を低下させる」といった欠点を克服できませんでした。しかしその欠点を、世界で初めて研究室レベルで克服したのが東北大学の小池研究室です。マテリアル・コンセプトでは、その特許を取得しています。銅ペーストの生産設備も備えていますが、その大きさは部屋一つ分ほどのスペース。このスペースで、銀ペーストの世界トップシェアレベル企業に匹敵するほどの生産が可能です。

将来のビジョン

銅ペーストで東北を元気に

東日本大震災を経て「被災地のために何を成し得るのか」という最高技術責任者である小池淳一の思いをきっかけに設立されただけに、社の“志”には「地方創生に資する新たな産業と雇用を創出する」、「東北発イノベーション創出の機運を高め、地方の活性化につなげていく」、「(太陽電池)普及拡大の一翼を担っていく」という言葉が含まれています。経営理念は将来のビジョンとも大きく関係していて、生産体制を強化することによる雇用の創出や、銅ペーストを使った新たな技術の創出へとつながります。また、マテリアル・コンセプトが手本となり、優れた技術を持っている人の起業を促進したり、太陽電池を低コスト化させ、普及に貢献するといった意味が込められています。「銀を銅に変えることで未来が変わる」と田内さんは語ります。

わたしの出番!

自分の力を発揮できる「杜の都」の会社

わたしの出番!

福田 哲也さん
開発Ⅰリーダー開発R4

太陽電池配線用の銅ペーストの作成を行っています。一つの開発テーマに対し一人で取り組んでいるのですが、主に銅ペーストの配合割合や材料の開発、太陽電池への最適な取り付け方法の模索、製品の性能評価など幅広い業務を行っています。社員数が少ないだけに一人ひとりの業務範囲が広く、自分の専門分野の知識や経験、発想を生かしながら仕事ができる社風です。私たちの会社は青葉山の東北大学敷地内にあります。森に囲まれ野生の熊や鹿にも出会うことができる環境は、まさに「杜の都」。周囲は緑豊かな趣ですが、少し足を運ぶだけで都市空間が広がっています。そういった環境が生活にメリハリを与え、仕事にも意欲的に取り組むことができます。

マイ・パートナー

電子天秤は絶対不可欠なツール

マイ・パートナー

電子天秤

福田さんの仕事で欠かせないのが「電子天秤」です。電子天秤とは、理科の授業でお馴染みの上皿天秤などよりも、精密に質量を測ることができる装置です。目標とする性能を持った銅ペーストの研究開発のためには、材料の配合割合や加えるタイミングなど、緻密な「条件」が必要となってきます。その「条件」を見つけることは難しく、目標とする水準を達成するまでは、何度も性能評価を繰り返す必要があるそうです。目標の性能に達していなければ、どの材料の重さが問題になっているか、原因を特定する必要があります。その原因を探るヒントを見つけるために欠かせないのが電子天秤で「電子天秤がなければ雲をつかむような状態になってしまう」そうです。

先輩の声

自分の「働いている姿」を想像してみてください

先輩の声

福田 哲也さん
開発Ⅰリーダー開発R4 

大企業志向の学生が多いようですが、近年のグローバル化により、大企業=安定という時代ではなくなってきました。就職活動の際には大企業だけでなく、優れた技術や力を持つベンチャー企業や中小企業も視野に入れることが大切です。会社選びの際に「働いている自分」を想像できる会社がいいと思います。自分の経験や知識、能力をどのように業務に生かすことができるか考えてみてください。

この記事を書いた学生記者

理系ベンチャー企業(研究開発型企業)の多くでは研究室で実物ができたからといって、即座に製品化できるわけではありません。研究室でできたことの「再現」や安定した量産体制の整備など製品化には時間がかかります。すぐに成果が出るわけではありません。ノーベル賞受賞者も成果を出すために長い時間をかけています。数年前に行われた事業仕分けでは科学技術の多くが「無駄」と認定されてしまいましたが、使い方次第では「有益」な可能性のものもあったはずです。かつて旧日本軍に無駄扱いされていた「八木アンテナ」は東北帝国大学で開発されたものですが連合軍側に重宝され、日本を苦しめました。優れた技術は現状で優秀さが分かりにくいものもあります。「目先」ではなく「長期的」に考える視点が必要です。研究開発型企業には先行投資が必要となってきます。マテリアル・コンセプトの持つ銅ペーストの技術。太陽電池以外にも私たちの生活や世界を変える何かを秘めているかもしれません。(鎌田 尭)